Arcing Ark 2000 / Bangkok
Big Hands Conference
Japan Cultural Center Bangkok
10/12-11/2, 2000

Bangkok 2001
水主たちの会議
「巨大な手」たちが水問題を提案


 「未来のための水を運ぶ手」は、大きなほどいい。そこで、池田一は、そんな水主たちの手を、Big Hand と呼ぶ。そのBIg Handsが結集した「未来のための水の会合」という展覧会を、かっては運河が縦横に走り、「東洋のベニス」といわれた水の都バンコックで開催した。バンコク日本文化センター主催の、池田一個展 [Big Hands Conference]で、同センターのアートギャラリーで、期間は2000年10月12日-11月2日。
 バンコクの西を流れる、チャオプラヤー河。ここでも、水の汚染の問題は深刻だ。その河畔に沿って、「未来のための水」と書かれた容器を、watermanこと池田一が持ち運ぶ。そのビデオを見ることから、会議への参加が始まった。ギャラリーの真ん中に設置されたテーブルは、池田一自身の水を汲む手が拡大印刷された巨大な布で覆われ、その手の中の水に、「未来のための水」という文字が浮かび上がっている。Big Hands Conferenceの会議のテーマだ。そのまわりを取り囲むように、12のBig Handsが結集し、「未来のための水」という会議テーマに向かい合っている。
 会場に入り、水を掬うBig Handsに近づくと、それぞれの手の水の中に、それぞれの「水に関するメッセージ」が読みとれる。「今後の人口増加に伴い、2025年には48ヶ国で水が不足するという見込み」「水関係の病気で、子ども達が8秒に1人ずつ死亡」「途上国における病気の80%の原因は、汚水である」等々。Big Handsが、水と共に掬いあげたのは、深刻な水問題であった。
 展覧会のオープニングで、[Listen to the Voice of Water!]という池田一のパフォーマンスを目撃した沖縄からの参加者は、
「-----いや、もっと自由な表現法でいえば、総合芸術としての新しい演劇形態の始まりを実験しているような痕跡も残されていたことを忘れることができない」(沖縄タイムス 2001.3.28 佐藤善五郎(那覇市文化協会事務局長))
 そして、最終的には、観客が、自らの「水主協約書」を水の中に差し入れて、パフォーマンスは終った。結局、50人近いタイの人たちが、「水主」に登録し、「水主協約書」に署名した。

「水之方舟計画 Arcing Ark」は、単に芸術的な観点だけではなく、いま必要な地球環境問題への取り組み、そして国境を超えたネットワークへの提案などと結びついて、各地で反響を呼び、黒潮文化圏を遡るようにして南下し、1999年は香港、マニラで、そして2000年のバンコック・プロジェクトへと展開していったのである。このような経過をもって展開しているプロジェクトのため、バンコック・プロジェクトも、単なる作品展示の展覧会ではない。そこには、幾つもの重要なプロセスが積層して、立体的な提案になっている。

この展覧会では、「水之方舟計画 Arcing Ark」の今までのアジア各地でのドキュメンテーション、それに現地バンコックでのビデオ撮影等、多くのエレメントを組み合わせて、BIg Hands (水主たちの手) が結集した「未来の水のための会合」というインスタレーションを発表した。

<問題提起> 水に関するメッセージ

・今後の人口増加に伴い、2025年には48ヶ国で水が不足するという見込み
・水関係の病気で、子ども達が8秒に1人ずつ死亡
・途上国における病気の80%の原因は、汚水である
・世界人口の50%には、下水施設が未整備
-------等々


ビデオ作品[Bangkok Water Station バンコック水駅]撮影

ビデオ作品[Bangkok Watr Station]の制作のための、撮影を行う。このビデオは、東京-バンコック-沖縄の3つの[WaterStation]から構成するビデオ・シリーズの一部である。池田一が、バンコック市内を中心に、特にチャオプラヤー川に沿って、「未来のための水」を求めて探し歩くシーンを撮影した。手にする容器に汲み上げた「未来のための水」は、常にぶくぶくと泡立ち、活性化している。このビデオ映像は、バンコック日本文化センターでの展覧会[Big Hands Conference]でも、放映された。

チャオプラヤー川沿いに、公園の中、遊歩道、船着き場で、「未来のための水」を持ち運ぶ池田一


PERFORMANCE [The First supper 最初の晩餐]

アーティスト・トークの後、ギャラリーに移動して、「最初の晩餐」と題するパフォーマンスを行った。先ず、インスタレーション[Big Hands Conference]を取り囲む観客に、[Listen to the Voice of Water!]とメッセージを送って、「未来のための水」と書かれた容器の中の水に息を吹き込み、いわゆる「水言語」を創り出した。その水奏音に合わせて、共演者の池田麻子が「水に関する詩」三編を英語とタイ語で詠み上げた。

13の全ての水に、池田一は「水言語」を吹き込む

そして、最終的には、観客が、自らの「水主協約書」を水の中に差し入れて、パフォーマンスを終えた。その後も、水主に参加したいという人が10人以上現れ、ビデオ撮影することになり、今回のプロジェクトの趣旨が広く浸透していることを改めて知ったのである。


COLLABORATION [水主 Water Senders]

[Arcing Ark 2000/Bangkok 水之方舟計画/バンコック・プロジェクト]は、バンコック日本文化センターだけでなく、チュラロンコン大学芸術学部、プロジェクト304との共働によって、実施された。「未来のための水を運ぶ水主たち」を現地で募集し、そして「水主たち」のビデオ撮影、編集まで、多くのタイの人たちとの共働作業が、そこに出現した。

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