Water Trunk 2025 2025年のための水トランク
Kyoto WaterArt Project
法然院講堂/京都  7/1-10, 2005
法然院 講堂
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
7/1(金)〜7/10(日)
午前10時〜午後4時 無料
Kyoto Note by Ichi Ikeda

銀閣寺から、哲学の道を下がってくると、山の懐に抱かれるようにして、法然院がある。茅葺きの山門の、瀟洒な佇まいが人気で、観光客や参拝客が早朝から訪れる。静寂な雰囲気なのに、開かれた感じが漂っていて、好きである。ここでは、展覧会だけではない、コンサートや講話、それに各種の集い、梶田真章住職いうところの「法然院サンガ」が途切れることなく開かれている。京都の寺でコンサートを開いたのは、法然院が最初であるらしい。私が法然院で展覧会を開くのは、2度目である。始めて法然院を訪れ、京都駅に向かうタクシーで、運転手に寺で展覧会やコンサートを開いている話をもちかけた。運転手は、当り前といった表情で、「そりゃ、そうですわ。昔は、寺では博打もやってましたしな。だから、寺銭って、言いますやろ」。なるほど、と合点する。そして、いまはオープンなコミュニティ&カルチュア・センターといったところか---。
法然院での1回目の展覧会は、2003の第3回世界水フォーラムの時である。メイン会場の京都国際会館での展示に加えて、ロンドンのアーティストたちとの世界水フォーラム関連の展覧会、シンポジウムにも呼ばれて、参加することになった。その会場のひとつが、法然院の講堂である。
前回の展覧会の時、訪れた人が書き込む芳名帳を見て、おどろき、そして感心した。名前や住所はともかく、多くの人が一言感想を残している。美術館やギャラリーでの展覧会では、これほどの数の感想に触れたことはない。多分、ここを訪れる人は、心洗われ、無心な気持ちで、展覧会に立ち寄るせいだろう。2回目の展覧会の打ち合わせで、梶田住職に会った時、このことを話すと、「どこでも一緒やないですか」と、気にとめるふうもない。
京都には、学生時代、6年間住んでたので、格別の思いがある。暑さも寒さも少しは分かっているはずなのだが、今回の個展のために訪れた京都は、梅雨の最中で予想以上にじとっと蒸し暑い。ビデオ担当スタッフの樺沢耕史と、「2025年のための水トランク」3個をギャラリーに運び入れた時には、汗びっしょり。その上、雨とくるから、どこまでも、水っぽい。少し時間が経つと、これも京都ならではの風情と、嬉しくなる。伝統と現代が絶妙に絡み合った、日本独自というべき意匠デザインと、狭い路地や店先で出会う。特別な展示場所ではない、日常生活の、ごく延長に、素晴らしい文化がある。作品の設置は思いのほか早く終わったので、水っぽい中、京都の町を歩き回るか--。京都に縁のない樺沢耕史にとっては、私は格好の水先案内人である。
展覧会の会期中の受付は、京都大学の学生にお願いした。展覧会の終わり近くに、再度京都を訪れ、彼にいままでの様子を尋ねた。「とにかく外国人が多い。20ヶ国以上の人が来ましたね」と言う。私が数時間居る間にも、多くの外国の人が訪れ、壁に貼った英文の説明文を読んでいる。設置の最中に、その必要性に気づき、慌てて、適当な紙を買い求め、宿泊先で、マジックペンで書きあげたものだ。中には、大声で読み上げ、他の人に聞かせている人もいる。いろんな人が集まるのも、サンガならではなのだろうか。「水トランク」を制作してくれた川崎研、そのトランクを運ぶキャスターを作ってくれた兼子久美、韓国の作家と一緒に来た千葉のアーティスト/武内和則、それに高校の同級生、大学の時の友人、などなど。6年間過ごした京都から離れて、40年近くも経つが、またこれからもプロジェクトを展開したいと思う。伝統と現代、日本と世界、過去と未来ムそれらが出会う、多分唯一の交差点であろうから。

Water Trunk 2025
『2025年のための水トランク』からの
メッセージ


地球は、銀河系でただひとつの水の惑星です。
しかし、その水の惑星に住む全ての人が同じように生活するのに不可欠な水に恵まれているわけではありません
現在、世界の30ヶ国の人たちが、そして20年後の2025年には、48ヶ国の人々が深刻な水不足に悩むことになると予測されています。急速な人口増加、地球環境の変化などが、その原因と考えられています。
この地球規模の水の危機に対して、いま何をなすことができるのでしょうか---。
この問いかけから、「2025年のための水トランク」という発想が生まれました。

「Water Trunk 2025」は、タテ・ヨコ・高さが43cmの立方体で、一人の人が一日生活するのに必要な水の量の基準となる「80リットルの水」が入る大きさです。
その「Water Trunk 2025」をおもむろに開けると、トランクの中から、16の水道の蛇口が出てくる仕組みになっています。
2025年に水不足に追いこまれると予測される16ヶ国のために水を届けたいという願いをため込んだ、水の蛇口です。

2025年に深刻な水不足に追いこまれると予測される48ヶ国のためには、三つの「Water Trunk 2025」が必要です。
法然院の講堂に運搬されてきた「3つの水トランク」を通して、20年後の地球=水の惑星を、想像して下さい。
そして、あなた自身が汲みあげた「手のひらの中の水」を、
どこの国の人たちに届けたいか、をゆっくりと思い描いて下さい。

  
     トランク製作:川崎研 Ken Kawasaki

2025年に、深刻な水不足の危機で悩まされていると予測される、世界の48ヶ国

Afghanistan Algeria Bahrain Barbados Belgium Burkina Faso Burundi Cape Verde Comoros Cyprus Egypt Eritrea Ethiopia
Ghana Haiti India Iran Israel Jordan Kenya Kuwait Lebanon Lesotho Libya Malawi Malta Mauritius Morocco Niger Nigeria Oman Peru Poland Qatar Rwanda Saudi Arabia Singapore Somali South Africa Korea Tanzania Togo Tunisia Uganda United Arab Emirates United Kingdom Yemen Zimbabwe


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