アーティスト・イン・スクール
池田一
「未来の方舟 」
Future Vessel 2009
展示 2009 10.22〜11.23
川口市立アートギャラリー・アトリア
(埼玉県川口市並木本町1-76
川口市立西中学校1年生137人との、コラボレーション。2025年に向う「未来の方舟」に、80リットルの水箱とオールを積み込む。

2025年に48ヶ国が深刻な水不足に陥るという予測仁立って、2本マストをもつ「未来の方舟」にギャラリー全体を変える
アトリアでの、未来の方舟の展示プラン
アーティスト・イン・スクール
池田一
「未来の方舟 Future Vessel」

16年後の2025年、世界の48ヶ国が深刻な水不足になると予測されています。「未来の自分たち」が住む、地球の危機を想像して、いま何をするのか--、この問いから、西中一年生137人との「未来の方舟」づくりはスタートしました。先ずは、水のことをもっと身近に知らなければならない、総合学習としての“水の授業”。91%の生徒が自分の意識、行動に変化があった、と学年通信は語っています。さらに、先生、生徒と、汗まみれの、竹の切り出し。これらの画期的な取り組みから、「未来の方舟」に積み込む「80リットルの水箱」づくりへ。一人の人間が一日に必要な80リットルの水。方舟には、ますます増えつづける「水不足で困っている世界の人」に届けたい、137個のプレゼントが積み込まれています。みんな、「未来の方舟のクルー(乗組員)」たちです。


in progress with students
池田一から、中学1年生137人に、3つの質問
●あなたの足元の水は、どこから来て、どこへ流れていくのか?
●水不足は、いま世界的な問題だ。なぜ、水不足は起こるのか?
●2025年には、世界の48ヶ国が深刻な水不足に陥るという予測。
あなたは、そのために、何をどのようにするか?

3 quetions to students and you

9月23日。神戸ふるさとの森。。「未来の方舟」のマストやオールの制作に必要な竹の採集を、西中の先生、生徒たちと実施
クラスごとに、授業。紐を川に見立てて、複雑な流れのこと、取水による水問題、国際的な水紛争のことを説明
美術の授業から、総合学習への
画期的な取り組み

●4/27
先生との最初のミーティング
今回のテーマ『水不足』を生徒が実感するためには十分な学習・調査の時間が必要。総合学習などの時間を活用して、積極的に水問題を取り上げていくことに。

●6/10
第1回 合同授業
1年生全員を前に、これまでのプロジェクトをスライドで紹介しながら、アートの持つ可能性を語る。そして、生徒たちに「水に関する、3つの質問」を投げかけ、多角的な学習への取り組みが始まった。

●〜9月 学校の取り組み
・ユニセフから、ネパールで子供たちが水汲みに使う水かめを借りての、体験学習
・水道局から、水に関する啓発ビデオを借りて、授業で上映。川口の、飲料水の経路についても学習
・国語科では、夏休みに水に関する意見文を課題に
・水に関する作文の中から、選抜されたものを弁論大会で発表

●7/13〜15
赤十字関連組織を通じて、募金活動を実施
アンケートのよると、91%の生徒が水に対する自分の意識や行動に変化があったと答え、水問題について家族と話をした生徒も
18%もいた。

●9/23
竹の切り出し(神戸ふるさとの森)
西中の先生、生徒、アトリアのスタッフ、総勢40名程で、「未来の方舟」の制作に必要な竹の切り出しに奮闘

●9/28,9/29,10/1,10/2
クラスごとの授業
水の循環のこと、川を巡るさまざまな問題点、水不足の現状などを、具体的なデータを示して説明

●生徒たちの、作品制作
授業時間や放課後に、ひとりひとりが「80リットルの水箱」と「オール(櫂)」を制作

●「未来の方舟」の制作
西中の美術教室や渡り廊下を借りて、池田一とスタッフは、竹を使って、「未来の方舟」の素材を制作

●10/19-21
アトリアに、「未来の方舟」設置

●11/4
中学生が制作した「80リットルの水箱」を積み込む

●11/8
アーティストと先生たちによるトークショー

●12/17
最後の授業
生徒たちが作った「80リットルの水箱」は、アトリアから西中に移されて、展示。
生徒ひとりひとりが書いた「池田一への手紙」が、手渡された。

producing his or her own 80 liters Water Box
ひとりひとりが
「80リットルの水箱」づくりに挑戦
池田一 曰く:
「あと50、60年も生きる人たちとの、コラボレーションだと思っている。私より数段長い未来をもつ人たちとの協働作業を通じて、未来のアートが現実のものになるだろう。この出会いに、大変心弾んでいる!」
川口市立西中学校から、生徒たちが作った「80リットルの水箱」が、「未来の方舟」が設置されているアトリアに運び込まれた。

loading 137 Water Boxes & oars on Future Vessel
中学生が制作した「80リットルの水箱」を積み込む
11/4 西中1年生によって、それぞれの水への想い、メッセージを込めて制作された「80リットルの水箱」が、アトリアに設置された「未来の方舟」に積み込まれた。当日は、新型インフルエンザによる学級閉鎖のため、生徒たち自らの手で水箱を配備出来なかったのは、残念である。
環境アート教育のモデルとして

11/8のトークショーの席上。西中の学年主任から、「今回が、終わりではない。これは、始まりであって、私たちとしてはこれからもこの種の学習を継続していく」という言葉が、当然のように語られた。この発言に、会場の聞き手の中からも、感動の声が上がった。

2005、ピッツバーグのカーネギーメロン大学で開催された国際環境アートシンポジウム[GROUNDWORKS]で、環境アート教育の重要性とカリキュラムの早急な実施が議論され、その取り組みへの期待が確認された。今回の、アーティスト・イン・スクール「未来の方舟」は、今後の環境アート教育における新しいモデル・ケースとして、各地での展開を促進するための有効なテキストとして、大いに評価されるべきであろう。
photo: GOTO MItsuru

RETURN